京大卒の主夫

京大は出たけれど、家庭に入った主夫の話

父子手帳の意義と必要性

twitterで父子手帳のことが少し話題になっています。

このツイートにぶら下がるリプライを見ているとなかなか興味深いです。

ikumen-project.mhlw.go.jp

こちらのサイトを見ると、全国各地に『父子手帳』なるものは一応あるようです。

また、リプライをみていると母子手帳ではなく『親子手帳』として配布している地域もあったり、母子手帳に父親がコメントを記入する欄がある、という自治体もあるようです。

 

母子手帳とは

そもそも母子手帳は、母子健康手帳という正式名称で、母子保健法で定められています。

第一六条 市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない。

・母子保健法(◆昭和40年08月18日法律第141号)

また、その様式は厚労省の定めるところに拠るとして、ある程度定まっています。

www.mhlw.go.jp

活用の手引きには、母子健康手帳の最も重要な意義として、

『妊娠期から乳幼児期までの健康に関する重要な情報が、一つの手帳で管理されるということ』としています。

母子手帳においては、子どもの予防接種や体調の変化を管理するだけでなく、妊娠期の母体の健康管理というのも大きな目的の一つです。時代の変化や予防医学の進展によって内容は変わりつつも、その意義と目的の部分は、一貫して変わっていないと思われます。

 

父子手帳の意義は

一方で、『母子手帳』という名称自体が父親の育児参加を遠ざける要因になるのでは?という指摘が冒頭のツイートです。これについては、既に2011年に議論がなされていて、その結果『母子健康手帳』という名称はそのまま据え置きになりました。

父親の育児参加を促すために親子健康手帳等への名称変更が有効との意見があったが、妊産婦及び乳幼児の健康の保持及び増進の重要性という観点から、母子健康手帳の名称は変更しないことが適当と考える。

なお、父親の育児参加を促進するためには、父親にも記入しやすい欄を設ける等の工夫を行うことが望ましい。

母子健康手帳に関する検討会報告書(PDF)

そのため、全国の一部自治体で配布されている『父子手帳』なるものは母子手帳の副産物、副次的役割を果たすものに留まっています。

 

サイト上で閲覧できるものを見てみると、妊娠中の妻への配慮の方法や、父親の育児参加を促すためのQ&Aといった『読み物』としての要素が強い印象です。

そうした『読み物』的な手帳を、妊娠~出産~育児の過程のなかで、どれだけ読み返すかと言われれば、かなり疑問です。とても丁寧に作られているものであっても、一度読んで終わり、になってしまうのではないでしょうか。

 

さらに言えば、『育児をしない父親』を批判し、ああしなさい、こうしなさい、という内容のものであれば、より読む気がなくなるのではないかと思います。

このあたりの父子手帳への批判については、下記のミネルヴァ書房から出ている書籍に詳しいです。

家族・働き方・社会を変える父親への子育て支援:少子化対策の切り札 (別冊発達)

家族・働き方・社会を変える父親への子育て支援:少子化対策の切り札 (別冊発達)

 

(この本、とても面白いですが、書いているメンバーがほぼファザーリングジャパンの会員だったりするので、若干偏りがある気がします。)

父子手帳の項目も、最近知り合ったメンバーが書いていて、その人がある自治体で作った父子手帳も見せてもらいましたが、やはり『読み物』要素が強い印象でした。

 

では、本当に毎日記録をつけて、保険証とセットで肌身離さず携帯するような『手帳』としての機能を備えた父子手帳は可能なのでしょうか?それは必要なものなのでしょうか?

夫婦間での共有

個人的には、夫婦で妊娠・出産・育児というプロジェクトに関わるにあたって情報の共有は不可欠だと思いますが、なにも紙でやることはないんじゃないか、と思っています。

紙の手帳はたしかにそれはそれで便利なのですが、最近は夫婦間で共有できる母子手帳アプリなどもあるし、その他の情報共有アプリもその共有方法もググればたくさんあります。

www.boshi-techo.com

 

もし、『父子手帳』を作るのであれば、必要な情報や、日々の記録することができる機能を備え、常に携帯することを前提としたものを作ってほしい、と思います。内容的には、母子手帳と全く同じもので表紙が違うだけ、でいいです。

母子手帳とほぼ同内容の記録をつける、というのも手間ですが、上から目線の読み物よりもずっと父親の育児参加を促す効果があるように思います。万一、離婚したときに手帳の所在をめぐって言い争うこともなくなるかもしれません。