「売れるもの」しかもう買わない
AERAの特集で、そんなタイトルでメルカリ経済圏の及ぼす効果について言及されています。
山本准教授らの調査では、ミレニアル世代のフリマアプリ利用者では61%もの人が「新品を購入する前に、フリマアプリで売値を調べた」と回答した。
メルカリユーザーの30代男性も「買い物のときはリセールバリューを意識している」という。
価格.comで最安を調べる文化によく似ていますが、店頭の品物は今やフリマ市場と比較されているわけです。ただ、それで新品を買わないという行動になるのではなく、中古でも価値があるからこそ買う、という行動になっているのが面白いなぁと思います。
『メルカリ』で使用後に売ることを考えたうえでモノを購入する、という購買行動ですね。売れる見込みのあるより良い製品を消費者が購入するので、長く使い込める耐久性があり、価値の下がりにくいブランド力のあるよりよい品物だけが作られるのではないか、と記事では期待感を持って語られています。
また、売る前提で買うので、多少高くても中古売価を考えれば安いという心理が働き、価格面でのハードルが低くなる、というのもメルカリを前提とした購買行動の特徴かと思います。
私の場合
本に関しては自分の良いと思うものを新刊で買うようになりました。多少高くても、すぐに売れることが多く、心理的ハードルが下がったからです。
あまり売りたくない商品は定価の9割にしているのですが、それでも売れることがあります。ポイントや中途半端な売上を使いたい、という人もメルカリには多いからだと思います。
子どもの絵本も、ほとんど売らないのですが、絵本も中古価格が下がりにくいものの一つです。『ぐりとぐら』なんかがそうであるように、古い名作がずっと読み継がれているものだからです。
また買う側としては、ちょっと高価な衣服類は、メルカリで買うようになりました。
あまりセールにされることが少なく、30代が着るのにちょうど良さげなものの類を買っています。
具体的には、
・ノースフェイス、パタゴニア、モンベル、グラミチなどのアウトドアブランド
・30代の定番ブランド、ダントン、オーチバル、ジムフレックスなど
です。
いっぱい出回っているので、値下げ交渉もしやすいです。
セールになりにくい商品だからこそ、フリマ市場での価格もそれなりですが、長い目でみてぽっと出のものをハントしています。
モノの価格は上がるのか?
「二次流通が盛んになることで一次流通のモノの価格が再定義できるのでは。モノの値段が全体的に上がり、無駄なものは生産されずに、サステナブルな社会になる」
とウェブ記事にもあるように、使った後も「売れる」良いものだけが売れるようになれば、モノの価格が上がるのかもしれません。
とはいえ、紙面上の特集を見ると、一番売れているブランドはユニクロだそうです。次いで、ナイキ、アディダスなどが続くとのこと。誰もが知っていて、サイズもデザインもシンプルで想像がつくとのことから、人気があるようです。
大量生産・大量消費なユニクロが一番売れる世界が、サスティナブルとはとても思えないのですが、ユニクロの服は一体どこから来て、どこに行っているのでしょうか。
個人的には、使った後に売る前提で買う、あるいは売らない前提で使い倒す、というだけなら、モノを無駄に捨てることがないので良いかなと思いますが、マージンを取ろうとか、売るためだけに買うといった購買行動(を取る人)がサスティナブルな効果を打ち消しているような気がします。
記事はずいぶん安易にメルカリを讃えていますが、「安く買って、高く売る」という経済の世界のどこかでは必ず搾取されている人がいる、という視点は持っておきたいところです。