杉田議員の差別発言
杉田議員については、自民党議員になる以前からずっとヘイト発言を繰り返している人物として認識していますので、今さらこうした発言をすることに驚きはしません。
ただ、下記の記事に示されているように、生産性がどうとかいう話は、あらゆる差別に敷衍されてしまう差別的フレーズです。
「生産性がない」から、支援の必要もないと言っている部分は、LGBTの方たちに限らず、重度の障害者にも及ぶ攻撃です。
重度の心身障害者に対して、働いていない、または税金を納めないで、税金だけ食いつぶしていると考え、だからその人たちを支援する社会保障の予算は無駄なのだと言う人は一定程度います。
杉田議員の主張はそれとほとんど同じで、障害者差別にもつながる考え方だと受け止めました。
生産性の意味が全然違いますが、下記の記事でも(労働市場における価値としての)生産性が低いからといって、そうした人が働くことを否定することは、ただ生きづらさを増やすだけだ、と書きました。いろいろな人の「困りごと」をいろいろな手段で支援していくこと、そうした冗長なシステムを作ることで、生きづらさを抱えながらも生きていくことができる環境が生まれます。
結婚する人生もしない人生も同じくらい尊い
若手の家族社会学者の永田夏来さんは、『生涯未婚時代』という新書を出しています。
生涯未婚率についてのデータは下記の記事を参考ください。
タイトルの通りですが、
2015年の国勢調査の結果、男性で23.37%、女性で14.06%にのぼったことがわかった。
前回の2010年の結果と比べて急上昇し、過去最高を更新した。
とあり、杉田氏の論でいえば、男性の4人に1人は生産性が無いことになります。
なぜ、未婚率が上昇したのか?はここでは深堀しません。ただ、少なくとも認識として、「結婚して子どもを産んで家族になる」という家族の形態はもはや一般的ではない、ということです。
世帯の形としては、単身世帯が全体の1/3を占め、大多数となっています。
このような現状を踏まえ、本来は社会制度の再設計をする必要があります。
結婚する・しない、子どもを産む・生まない、などの個人の選択は言うまでもなく自由であり、それを頼りにしている社会福祉や制度のほうが異常です。「家族」に福祉の肩代わりをさせる社会制度のあり方は、不公平そのものです。
いろいろな考えの人がいて、いろいろなことを思うのは「内心の自由」です。でもその価値観を人に押し付けたり、攻撃したり、差別をまき散らすようなことはしないでほしい。そしてできれば、正しい統計や認識に基づいて、制度を作る側の人間としての仕事をしてほしい。
締めは、BuzzFeedの記事での岩崎航さんの言葉です。
ただ、そこに居るだけでいい、生きているだけで十分というのが人の命であるはずです。外部から条件なんてつけてはいけないし、つけられるはずがない。そんな貧しい思想を流してはいけないし、許してはいけない。徹底的に戦わなければなりません。
こんなことを説明しなければならない現実に、恐ろしさを感じます。私も怯まずに対抗する声をあげたいと思います。