最近、在宅でテレワークをしたくて仕方がないパート社員の私です。
今やってる仕事の8割が、データさえあれば家でもできる仕事だからです。
しかし一時期に比べ、『テレワーク』については話題が少なくなりました。
その働き方が本当に生産性を上げるのか、 あるいは業務上のメリットが大きいのか、など様々な観点から疑問が投げかけられ、一部の導入企業は廃止、あるいは見直しがなされているからです。
フランスでは週2日まで、としている企業が多いようです。
週5日の全日をテレワーク化した場合には社員の孤立という問題が発生し、テレワークによって生じるはずの生産性向上が逆に失われる。テレワークによる生産性向上のピークは、テレワークが週1~2日である場合に確認される。
というのが理由のようです。
実際に、テレワークは非効率でかえって生産性を下げてしまうのでしょうか?
(※こないだそれっぽい写真を撮る機会がありましたので。snapmartさん、ありがとうございますhttps://info.snapmart.jp/seller_event02/)
テレワークは長時間労働を招くのか?
リクルート研究所が2017年11月に『テレワークは長時間労働を招くのか?』というレポートを発表しています。(https://www.works-i.com/pdf/171120_wr12_06.pdf)
こちらの内容を端的にまとめると、「そもそも、日本企業が全体的に長時間労働体質なので、テレワークしたほうが長時間労働からは解放されやすい」です。
つまり、長時間体質が解消された場合、テレワークとの差は無くなるかテレワークの方が非効率、という結果になる可能性が高い、というところです。
日本以外のほとんどの国では、テレワーク(在宅労働者)のほうが労働時間は長く、ただ通勤時間の削減等によりワークライフバランスはとりやすくなった、という結果が出ています。ワークライフバランスの観点からは好ましいが、生産性の観点で言えば好ましくない、という悩ましい結果です。
また、海外の場合、女性の家事労働時間が増えてしまうことを問題視しています。
一方、このリクルートワークスの調査結果では、日本においては、特に男性の場合に家事労働時間が有意に増加しており、これは男性の家事参加の観点で好ましいことと受け取っています。
その男性の配偶者の家事時間がちゃんと減って、家計的に、あるいは幸福度としてプラスになってればいいのですが。。
日本と海外で大きく差が出るのは、労働慣行の違いも大きいものと思われます。チーム重視、年功序列、集団的規律を重んじる日本企業的な職場では、先に帰りづらかったりしますよね。テレワークであれば、そうした集団心理から解放される、というのも長時間労働にならない一つの要因かもしれません。
また、こちらは、あくまで制度的なテレワーク実施者を対象としているため、日本でテレワークを制度的にOKとしている(比較的ホワイトな)企業というバイアスが掛かっています。
テレワークを制度として導入する場合には,長時間労働に陥りがちなテレワークをモニタリングして抑止するような労務管理が同時に成り立っている可能性を示唆している。
テレワークを導入している企業では的確なモニタリングと制度運用によって、適切な労務管理ができている、ということですね。そうではなく、持ち帰り残業・サビ残的なテレワークだと、生産性向上といった期待はできないでしょう。
テレワークのガイドライン
テレワークを導入・実施する場合の労使間の契約や運用ルールの決め方については、厚生労働省が2018年4月にガイドラインを策定しています。
労働基準法や衛生法などの適用、労災についてなど、かなり細かい運用面でのルールが書かれているので、とても参考になると思います。
その中でも、長時間労働への対策の項目などは、特に注目すべきところです。
また、テレワークを行う場合、モバイル端末あるいはパソコンなどの通信機器がほぼ必須になるかと思いますが、こうした通信上のセキュリティのガイドラインについては、下記が参考になります。
セキュリティあんまり詳しくないので、ほとんど読んでませんが、導入事例などもいろいろ書いてあります。
テレワークと通勤
ちなみに、上記のCSAJの資料にあったのですが、都道府県別の通勤時間ワースト順に並べた表が下記のものです。
1 | 神奈川県 | 1時間45分 |
2 | 千葉県 | 1時間42分 |
3 | 埼玉県 | 1時間36分 |
4 | 東京都 | 1時間34分 |
5 | 奈良県 | 1時間33分 |
6 | 大阪府 | 1時間25分 |
7 | 兵庫県 | 1時間21分 |
8 | 京都府 | 1時間20分 |
9 | 茨城県 | 1時間19分 |
9 | 愛知県 | 1時間19分 |
当たり前ですが、テレワークによって在宅就業が可能であれば、これらの時間は無くなります。
それだけでも、かなりメリットありそうです。
実際に、東京圏の全ての労働者の通勤時間を勤務時間に充てれば8.6兆円の経済効果がある、という試算もあります。(http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2018/kuma180426ET.pdf)
長時間通勤とテレワークについて焦点を当てたレポートもあります。これによれば、通勤手当という賃金プレミアムがありますが、それ以上に通勤時間を苦痛に思う人が特に女性に多い、ようです。満員電車は誰にとっても苦痛ですが、体力の少ない女性、痴漢の被害に逢いやすい女性、がそれを苦痛に思うのは尤もな話です。
運用までのハードルの高さ
総じて、いろいろ見てみると、テレワークを導入・実施するまでに、そもそも越えなければならない高い障壁がたくさんあります。
そもそもオフィスワークにおける労基法の順守、適切な労働時間管理、から始まって、リモートに限らずセキュリティ面の整備、タイムマネジメントツールの導入、そしてテレワークを運用するにあたってのルールの整備、と。
単なる制度導入というだけの問題解決ではなく、会社全体を巻き込んだ「働き方改革」プロジェクトとなるため、その導入が難しく時間がかかるものになってしまいます。
そんなことごちゃごちゃ言わずとりあえずやろーよ、的なノリではできないのがネックですね。失敗して廃止にしたところも、おそらく上記のどれかが欠落していたのだと思います。
そんなわけで、いろいろ調べてみたものの、パートでもそんな働き方ができるようになるのは、まだまだ先だろうなーという結論です。
まあ、今の職場は自転車で10分のところなのですが。(←雨が降ったら休みたい。)