京大卒の主夫

京大は出たけれど、家庭に入った主夫の話

家事はどこまでサボっていいのか?

佐光紀子さんの『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』を読みました。

タイトル通りの本で、タイトル以上のことは言っていません。おっしゃる通りです。

ご本人の書いた記事もあるので、これを読めば十分かと思います。

toyokeizai.net

みんなもっと、サボろう。「サボる」ことに抵抗がある方は、以下の文章は全て効率化・合理化と読み替えてください。私は効率化のほうが仕事っぽくて抵抗があります。

 

以前も書きましたが、1日における家事の時間は、こんなに便利なものが増えているのに10年間で5分しか短縮されていません

lazyplanet.hateblo.jp

以前の記事では、家事に限らず労働時間が短縮されない理由として、取引相手や先輩上司などと共同で仕事をするなど、自分ひとりではどうにもできない外部要因が大きいのでは、というところを指摘しています。

一人暮らしであれば家事に時間などほとんどかけないし、自分のペースでできるのでさほどストレスはないでしょう。

でも結婚・同居し、出産を経て、複数人の家族になれば、自分流の家事ではなく、相手の家事の流儀と合わせる必要もあり、また生活スペースを共にする以上、他者と関わらずに家事をするのも不可能です。親と同居ならなおさらです。

また、家の外で他者と関わるPTAや自治会、ママ友・同僚との付き合いだって、立派な家事の一つです。近接地域の関係構築は、生活面での相互扶助を促し、リスクヘッジになるからです。

 

家事の外部化にある抵抗感

家事を外部化することも、家事の時間を短縮する一つの重要な施策ですが、実際にはあまり実施されません。

オートロックのマンションが標準的であるような日本では、家庭の中は私的領域であるという意識が強いこともその一因としてあると思います。

もちろん、セキュリティやプライバシーも重要です。

会社の仕事をアウトソーシングするとき、必ずNDA(秘密保持契約)は結ぶでしょうし、システムを使う場合、そのシステムのセキュリティや個人情報の取扱いについては、必ずチェックするでしょう。

同様に、家事代行などにおいては、他人が私的領域に入り込む以上、セキュリティ・プライバシーそれぞれの配慮が不可欠です。

物を盗まないとか傷つけないとかは当たり前として、あの家こんなに汚かった、とか派手な下着を洗ったとか、外で言われたら困るわけです。

 

家事をサボった時間でできること

だらだらテレビをみたり、ゴロゴロと漫画を読んでてもいいと思うのですが、これが外部化してお金を払っている場合だと、2時間3000円(仮に)で時間を買ってテレビを見ているようで、なんとも無駄遣いしているような気持ちになるんじゃないでしょうか。

 

いや、ゴロゴロするのも大事なんですけど。みんな、もっとだらだらしよう。

 

でも今家事にかけている時間を一日3時間として、そのうち2時間が自由になるとしたら。

本は1冊くらい読めそうですし、ブログの記事も1本か2本書けそうです。1日2時間資格の勉強ができれば、簡単な資格なら数か月でも取得できそうです。

Amazonで映画見たり、お酒飲んだり、ちょっとカフェに出かけたり。それが毎日できるなら、充実してる感ありますね。

 

 

でも、家事はどこまで放っておいていいんでしょうか。

 

サボっていい基準(掃除編)

掃除・洗濯・風呂などの「綺麗にする」系の家事は、衛生上、病気になりやすいカビや埃、雑菌などから守る、という目的で行われますが、実際にはそれ以上に気分的に気持ち悪いからとか、べたつくのが嫌、とか、人目に付くときに困る、などより過剰に行われることが多いです。

 

上述の佐内氏の記事には、

「家事をちゃんとやらなきゃ」信仰にとらわれている女性は多く、なかなか手を抜けない。手を抜くことで罪悪感を抱いてしまうという女性は多い。

日本の主婦のほぼ半数(48.4%)が、「トイレ掃除は毎日すべき」と考えている。これに対し、そう思っている夫は2割弱。また、食器を1日3回以上洗う人の割合は、日本では55.5%。イギリスでは27.3%、アメリカでは8.3%、スウェーデンでは7.7%という大きな開きがある。

トイレ掃除毎日、食器は1日3回以上洗う人が半数もいる、と指摘。

 

また下記の記事には、

toyokeizai.net

日本で明治末期頃から昭和40年代にかけて普及した「ちゃぶ台」が登場する前は、各自の「箱膳」があり、食後に茶を注いで飲み干したり、布でぬぐったりするだけで格納し、食器を「洗う」のは数日に1回だった

というような話もあります。

また、少し前にこうした話題もありました。

togetter.com

せめて月2回は~から始まり、週1、5日に1回、やがて毎日シャンプーへと変遷していきます。

 

なんだか清潔至上主義批判みたいになってきましたが、そんなつもりはなく、でもたまにサボるくらいはいいんじゃないでしょうか、というくらいに留めておきます。

 

参考程度に、楽天リサーチの2013年の調査結果を下記に貼っておきます。母数は多いのですが、ネットアンケートなので、おおよその目安くらいに考えた方がいいと思います。これを見ると週一程度の掃除頻度も多くて少し安心します。

f:id:lazy-planet:20180605171727p:plain

リサーチデータ(2013年)家庭用洗剤に関する調査|楽天リサーチ

 

また、石鹸や洗剤に関する情報や統計は、日本石鹸洗剤工業会のHPが詳しいです。上述のシャンプーの歴史なんかも載ってます。正しい手の洗い方、みたいな子供向けのポスターもダウンロードできたりと、暇つぶしに見ていると面白いです。

jsda.org

洗剤やシャンプーなどの販売高の推移はこちら。一時的に下がっているのは、環境問題などで化学薬品などが騒がれた時期かと思われます。それ以降順調に推移しているところをみると、繰り返し除菌を訴えるCMの効果は十分に発揮されているようです。

 

ともかく、このあたりの統計と自分の価値観を照らし合わせ、掃除などの頻度を見直してもいいのではないでしょうか。

 

f:id:lazy-planet:20180605172914p:plain

f:id:lazy-planet:20180605172923p:plain

サボっていい基準(食事編)

食事(料理)については、空腹を満たし栄養を摂る、という最低限の目的のほか、料理の味を楽しむ、時間を楽しむ、などの効用もあります。

ただし、その前後には献立の構想から買い出し、調理、片づけ、皿洗いといった作業が発生し、単純に作って食べるだけではないのがこの家事の時間がかかるところです。

皿洗いの部分は食洗機で自動化できますが、食洗機に入れるまでと食洗機から棚へ片づけるなどの前後の時間も発生するので、実際には皿洗い全体の7割ほどしか自動化できていないのではないかと思います。

献立作成~買い物~調理の時間はどれほど短縮できるでしょうか。

最近では、買ってすぐ食べられるお惣菜などの中食市場がスーパー、コンビニの主戦場となっており、市場規模が拡大しています。

スーパーなどの店舗のリニューアルを業界用語で「活性化」と言いますが、ここ最近活性化されたスーパーは必ず中食コーナーを大きく取り、コーヒーを飲んだり電子レンジで温めたりできるイートインスペースが設けられています。

買ってその場でも食べられるし、家でも食べられるし、便利ですね。簡単に調理できるお惣菜のクオリティもどんどん上がっています。

www.nikkei.com

また下記のアンケート結果をみると、消費者の意識も徐々に変化していることも分かります。

www.jmar.biz

あらかじめ65項目のメニューの選択肢を挙げ、月に1回以上、食卓に登場するメニューを聞きました。主食メニューをみると、主婦の回答では「カレー」「和風めん類(そば・うどん等)」が8割を超えて高く、次いで「パスタ・スパゲッティ」が7割以上、「焼きそば」「チャーハン・ピラフ・焼き飯」「丼もの(牛丼・親子丼等)」「ラーメン等中華めん類」が6割台で続きます

いわゆる単品でいけるお手軽メニューです。カレー、ラーメン、うどん、パスタ、丼もの、焼きそば、チャーハンを月1回以上作ることは、多くの家庭では一般的なようです。この際、週1でカレーでもいいんじゃないでしょうか。献立作成が大幅に楽になります。そしてカレーならホットクックが作ってくれます。

 

また、出来合い品の利用も増加してます。60代の伸びが顕著で面白いのですが、60代のほうがスーパーの新商品に敏感だったり、意外と柔軟に活用する傾向があります。

逆に30代は料理自体への関心の強さもあるようです。料理自体が楽しい、ということであれば、それほどサボる必要もないのかもしれません。忙しくてサボりたいときは出来合い品を買えばいい。

f:id:lazy-planet:20180605174455p:plain

 

 そういえば先日、運動会があったのですが、我が家の弁当はこんな感じでした。

ミートボールやからあげ、ミニトマト、ウインナー、さくらんぼ。半分以上は詰めただけですね。買い物の時点で、お弁当作りの半分は終わっています。

お惣菜を買って詰め替えるだけでいいと思います。お弁当。

もちろん、キャラ弁みたいな凝った弁当を作るのも楽しいと思います。子どもが喜んでくれたらうれしいですし。でも、それは暇なときでいい。

 

さて、だんだんまとまらなくなってきました。

 

許容範囲を夫婦ですり合わせる

一般的にどれくらいの時間をその家事に費やしているのか、一週間、一か月という単位での頻度はどれくらいか、といったもののおおよその目安は、統計などから判断できます。ただ、その平均値から、どの程度質を落としても許せるか、という許容範囲は、個々の生活の中での価値観に大きくかかわるもので、特に夫婦間でそのすり合わせをしっかりしないと家事ストレスの原因になります。

洗濯物をきっちり畳むか、干したままにするか、そういった些細なレベルでのストレスの蓄積は甘く見てはいけない、というのは経験上語っておきたいところです。

 

こうした場合、相手が全然許容してくれない、とどちらかが嘆く結果、許容しない側に家事負担が行きがちだったり、許容しないのが悪い、となりがちですが、そうではなく、その相手の価値観は大切な他者と関わって生活する以上、受容しなければいけないものです。そこを強行突破するよりも、他の時短方法を考えたほうが有益です。

 

自分ひとりではどうにもできない外部要因のある作業は、一人ですべて完結させられるものでなければ、どんな仕事にも必ず発生するものです。

 

一般に他部署や他社に影響する業務の効率化は難易度が高く時間がかかります。まずはサボっても影響範囲の少ない場面からサボって、時間のかかる効率化は時間をかけて話し合いながら進めていくのが正攻法かな、というところで本稿を閉じます。