会期末ギリギリでしたが、娘と一緒に、京都で行われている国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」に行ってきました。
朝早くから、「京都にアートを見に行くぞ」と声を掛けて、さすがに微妙な反応をする娘を説得するのに大変でしたが、「好きなもの食べていいぞ」ということで取引成立。
ちなみに「花まるうどん」で大変満足していただけました。
京都新聞ビル 印刷工場跡
まず向かったのが、こちら。
京都新聞ビルの地下、印刷工場跡を利用したギャラリーです。
廃工場の退廃的な雰囲気とアンマッチした、消費社会の物質主義的な贅沢な暮らしを写した写真が中央に配置されています。
印刷工場跡の雰囲気が素晴らしいです。黒ずんだインクの跡、むき出しの配線やダクト、地下空間とは思えない天井の高さなど、圧倒されます。
娘にとっても、良い社会見学になりました。
そして、こちらは京都新聞社のロビー。使い込まれたイームズのシェルチェアが、赤いフロアに映えています。
ここで、娘は子ども用のスタンプラリー台紙をもらいました。無料のわりに、しっかりした作りで、中には解説やクイズも書かれています。ここから、俄然娘のテンションが上がります。育児世代にとっては、大変ありがたい心配りです。
三三九 旧氷工場・旧貯氷庫
もともと、中央卸市場に供給するための大量の氷を製氷・貯蔵するための工場・倉庫として使われていた場所が、ギャラリーとなっています(※三三九は現在の所有会社の名称)。
会場は、卸市場を抜けた先に、あります。
こちらでは3作品、楽しむことができます。
洪水災害に見舞われた後の世界各地の街の様子を、並行した5枚のモニターで映し出す、ポートレート映像作品。
異端な、アウトサイダー達をモノクロ写真に収めた作品。
日本の「働く人」を原寸大で図式化したように撮影した常設作品。
そのどれもが、卸市場と廃墟化した工場の空間とうまく融合させて展示されています。
正直、写真好きにはたまらない空間で、素晴らしい写真が展示されています。こうした癖の強い場所では、空間の持つ力に圧倒されてしまうのですが、作品の放つ力も負けていません。
ダンジョンのような場所で、娘は少し怖がっていましたが、めったに来られる場所でもないので、その雰囲気は楽しんでいたようです。
他の会場もスタンプラリーの勢いで、駆け回りましたが、この二つの場所がとにかく圧巻でした。
現代アートの分からなさ
現代アート、というかそもそも「アート」には分からなさが付きまといます。
ただ、子どもにとっては、アートだけでなく新しく訪れる場所、すべてがはじめてでわからない場所です。
アートの前では、大人も子どもも等しく同じになれるような気がします。もちろん、置かれた文脈や場所・モノとの関係性から、作品を読み取る力は大人の方があるかもしれませんが、分からないものを体験する、という点においては同じです。
日常の中には予定調和なストーリーや「わかりやすい」かわいさ、美しさ、カッコよさが溢れていますが、分からないものと向き合う機会は、積極的に出会わなければ得ることができません。
幸い、こうしたアートは真っ白な静かな美術館の空間ではなく、体験型のインスタレーションとして、開かれた場所にあることが多いので、比較的子連れに向いています。
以前も、瀬戸内国際芸術祭に子連れで行きましたが、楽しかったです。
と、アートに限らず、音楽その他のイベント含め、こんな感じでいろいろ理屈をつけては、父ちゃんの道楽に子どもを連れまわしています。 子どもにとってもプラスの影響になっていればそりゃいいけど、全くなってなくてもいいかな、と思っています。
育児・家事が中心の生活だけど、無理してでも、やっぱり非日常を楽しみたいのです。