専業主夫を続けることの難しさ
さて、宿題を終えたので平常運転します。
定期的にここで紹介している、中野円佳さんの東洋経済の連載ですが、ついに主夫が登場してきました。
記事の冒頭に出てくる和田さんですが、ついこないだプロフィール写真を撮ってほしい、という依頼をうけて撮ってきたついでに、この記事についても話題になりました。
ファザーリングジャパンを通して依頼がきたようです(私も呼んでくれよ)。
PTAの活動に言及しているところで、「ママたちも気を使ってくれて優しいし、パパ一人だとちょっと違う意見を言うのも許されるような側面がある」とありますが、当初はもっと過激な表現(女性だけでは煮詰まる場面を男性的な視点で取り仕切り~みたいな)で書かれていたようで、「近所を歩けなくなるからやめてくれ」と変えてもらったようです。
結果的に、男女関係なく、それぞれの生き方、困りごとを描いた良い記事になっています。
主夫って、働いている相手がいて初めてなることができるものなので、本当にパートナーには感謝しかありません、というのは主夫どうしの会話でたびたび出てきます。
私も、専業だった期間は意外と短くて2,3年くらいです。パートになるまでの経緯は、下記に書いていますが、ずっと家の中にいるのもつらい、というのがやっぱり切実なところですね。
専業にこだわる必要はない
兼業主夫といっても、扶養内かそうでないかで、また少し立場が違うかもしれません。
でも、扶養内であるうちは、専業にとくにこだわる必要はないですね。扶養の制度はやっぱり制度的にとてもお得ですし、それを享受しつつ月5,6万くらい生活の足しになれば、妻も少し気が楽になるようです。
専業主夫が難しい、というより、いつのまにかなんか働くようになっていた、というのが自然かもしれません。実際パートで働いていても、主夫であるという感覚にはあまり変わりません。子どもが病気になれば休むし、お迎えも行きます。平日は毎日ごはんを作ります。やっぱり主夫は主夫です。
それぞれが働く理由は、中野円佳さんがうまくまとめています。
①専業で家事育児を担うことは想像以上に肉体的精神的に大変、②自身の自由な時間がない、③片方の稼ぎでは家計が不安定、といったことだろう。これは、仕事に専念する夫と、専業主婦の妻という組み合わせの家庭が抱える問題と同じだ。
その通りだと思います。
まだ具体的なデータはまだないと思いますが(主夫少なくて)。
続くフレーズでは、再就職の難しさを綴っています。
長年夫婦をしていると、どちらかが働けなくなったり、転勤したり、さまざまな変化がある。また育児や介護のフェーズによって、一時的に「稼ぎ主」の交替が必要なときもあるだろう。ところが、これまでの日本の「サラリーマン」的な働き方では、稼ぎ主を一時期降りて、また戻るということがなかなか難しい。
もちろん、一度「稼ぐこと」から降りても、戻れる社会が望ましいし、そういうロールモデルを私自身でも作りたいと思っています。
が、なかなかそうはいかないのが雇用市場です。
中野さんが述べているように、
片方が融通の利く働き方にしようとすれば、何年やっても熟練しても賃金の上がらない「バイト」が中心になってしまう――という日本の状況
があります。
専業主夫・主婦が単に働くだけなら簡単ですが、攻守交代が可能なレベルで「稼ぐ」には、保育園などの子どもの預け先がある、家事サポートの担い手がいる(外注できる)環境がある、それなりの賃金を確保して長期的に働ける、といった条件がそろう必要があります。
シーソーカップルになるには?
最近kindleで無料で読める『仕事2.0』でもシーソーカップル、という名前で、攻守交代可能な夫婦関係について述べられています。
夫婦がこの形の協力関係を確立すれば、たとえば妻のキャリアが重要な局面に来た時期に、夫が育児に注力し、その次に夫がキャリアで勝負をかけたい時期が到来したときは、妻が家事育児を主に請け負うといったバランスを取ることができ、夫婦ともにキャリアと家庭の両立が可能になる、というのです。
理想的で素晴らしい夫婦関係だと思いますが、難易度が高いです。
雇用市場だけでなく、個人のスキル・能力から考えても、キャリアも家庭も夫婦ともにバランスよく力を発揮できる、というスーパーカップルがどれだけいるだろうか?と悩んでしまいます。夫婦ともに、家事もできるし仕事もできる、ってとってもレベルの高い話です。皆ができることではないと思います。
仕事はプロジェクト単位になっていくとか、一つの会社に依存しないとか、そういう意識高い系あるあるの話が続きますが、「安定」という魅力的なポジションの誘惑に打ち勝って「柔軟性」を選ぶ、というのもまた難しいものです。
まあ、でもだからこそリスクをとって行動する人やなにか新しいことをする人を気軽に応援できる、支える仕組みはたくさんあっていいのかな、と思います。
冒頭の主夫の和田さんは、マジックパパとして独立することを考えているようです。
こういう挑戦は、心から応援したいです。だから、今回も撮影に協力したし、これからも協力しようと思います。同じ主夫という立場からのいろんなキャリアの成功事例があることは、攻守交代しやすい社会につながると信じています。