今週のお題「読書の秋」
お題が「読書の秋」だったので最近買った絵本の話から、いろいろと連想して主に大人向けの絵本を紹介します。ただのお題記事なので、細かいことは気にしないでください。
そらからきたこいし
鉛筆と木炭だけで書かれた、とても綿密なタッチの絵本です。twitterで話題になっていても、著者のtwitterはあまりやる気ないようで、いい感じに病んでるのも好感触です。細かい鉛筆画を描く人の、そういう内面が好きです。
まっくら、奇妙にしずか
- 作者: アイナールトゥルコウスキィ,鈴木仁子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/07/12
- メディア: 単行本
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鉛筆画といえば、この人の本が(古本界隈では)有名です。 シャープペンシルだけで書かれた繊細な絵は、分かりやすく言えば『レベルE』の妄想世界のような狂気にまみれています。でも、人はそういうのに、つい触れたくなります。話も支離滅裂なので、子ども向けではありません。
フォーニコン
同じく、子ども向けではないのが、こちら。
トミー・ウンゲラー自体は、『すてきな三人組』などでよく知られている絵本作家ですが、こちらで描かれているのは、偏屈な性的描写の激しいエロティックな機械装置の数々です。絵本作家だからといって特別なことはなく、人は内に秘めた性癖があって当然です。人は矛盾した感情を同時に持つことのできる生き物です。
- 作者: トミー=アンゲラー,いまえよしとも
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1969/12/16
- メディア: 単行本
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ムナーリの機械
意味の分からない機械装置といえば、ブルーノ・ムナーリのこの絵本です。何の役にも立たないような発明品の数々がここにあります。見ていて飽きません。ムナーリはこれに限らず、優れたデザインの本を出しているので、いずれ子どもにも見せたいです。
すきまのじかん
こちらもまた、内容的には子どもも読めますが、分かりづらいです。ひくまの出版はすでに倒産していて、 古本屋を探しまわってようやく手に入れた本です。とても優しく柔らかい絵は何度でも見返したくなります。
アイスクリームの国
- 作者: アントニーバージェス,ファルビオテスター,Anthony Burgess,Fulvio Testa,長田弘
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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長田弘の選んだ『詩人が贈る絵本』シリーズとして、みすず書房から出された本です。7冊のシリーズが第二弾まであり、全14冊。一冊あたり2,000円というただの贅沢品です。古本屋で500円程度で売られていたら、反射的に買います。
とっくに絶版になっているのですが、大阪のクレヨンハウスに普通に売ってました。平野紗季子さんの『生まれた時からアルデンテ』で触れられていて、読んでみたいなと思った絵本です。 内容はタイトルどおりで、とても素敵です。
ブルッキーのひつじ
大人の大好きな絵本作家といえばゴフスタインです。あと、ゴーリーも。
ブルッキーのひつじは、娘が保育園で歌を覚えてきたので、本も買いました。 かわいいこひつじの話です。シンプルな絵で、物語も単調です。
- 作者: M.B.ゴフスタイン,谷川俊太郎
- 出版社/メーカー: ジー・シー
- 発売日: 1989/03/01
- メディア: 単行本
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ゴフスタイン作品の多くは、末盛千枝子さんが「すえもりブックス」にて多く出版されています。すえもりブックスは倒産してしまいましたが、その後「現代企画室」という会社が、復刊しています。
絵本ガイド・絵本論
末盛さんの上記のエッセイも、絵本ガイドとして読めるのですが、オススメの絵本ガイド本は、こちらの『絵本をたべる』です。
紹介されている絵本の数が圧倒的に多いうえに、一つ一つの説明が丁寧で、章立てに使われているテーマ設定も良いです。絵本の世界にどっぷり足を踏み入れるのに、十分に準備が整います。
木坂涼さんは、主に翻訳の絵本が多いですが、まずハズレがありません。どんな人なんだろうと、その人となりがわかるエッセイを読んでみたくて、こちらを買いました。とても静謐な言葉を大切にする詩人です。
- 作者: ポールアザール,Paul Hazard,矢崎源九郎,横山正矢
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1957/01/01
- メディア: 単行本
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べつに私は絵本の専門家でもなんでもないのですが、現代的な絵本の理論的支柱を形作った古典的な本の一つが、こちらかなと思います。絵本のもつパターナリズム(お仕着せがましさ)を徹底して否定しています。ちょうど、この本が刊行されて以降、日本の名作絵本の勃興期が始まります。
そういえば昔、こんな記事も書いていたようです。