京大卒の主夫

京大は出たけれど、家庭に入った主夫の話

主に大人向けの絵本のはなし

今週のお題「読書の秋」

お題が「読書の秋」だったので最近買った絵本の話から、いろいろと連想して主に大人向けの絵本を紹介します。ただのお題記事なので、細かいことは気にしないでください。

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そらからきたこいし

そらからきたこいし

そらからきたこいし

 

 鉛筆と木炭だけで書かれた、とても綿密なタッチの絵本です。twitterで話題になっていても、著者のtwitterはあまりやる気ないようで、いい感じに病んでるのも好感触です。細かい鉛筆画を描く人の、そういう内面が好きです。

twitter.com

 まっくら、奇妙にしずか

まっくら、奇妙にしずか

まっくら、奇妙にしずか

 

鉛筆画といえば、この人の本が(古本界隈では)有名です。 シャープペンシルだけで書かれた繊細な絵は、分かりやすく言えば『レベルE』の妄想世界のような狂気にまみれています。でも、人はそういうのに、つい触れたくなります。話も支離滅裂なので、子ども向けではありません。

 フォーニコン

フォーニコン

フォーニコン

 

 同じく、子ども向けではないのが、こちら。

トミー・ウンゲラー自体は、『すてきな三人組』などでよく知られている絵本作家ですが、こちらで描かれているのは、偏屈な性的描写の激しいエロティックな機械装置の数々です。絵本作家だからといって特別なことはなく、人は内に秘めた性癖があって当然です。人は矛盾した感情を同時に持つことのできる生き物です。

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ

 

 ムナーリの機械

ムナーリの機械

ムナーリの機械

 

意味の分からない機械装置といえば、ブルーノ・ムナーリのこの絵本です。何の役にも立たないような発明品の数々がここにあります。見ていて飽きません。ムナーリはこれに限らず、優れたデザインの本を出しているので、いずれ子どもにも見せたいです。

すきまのじかん 

すきまのじかん

すきまのじかん

 

こちらもまた、内容的には子どもも読めますが、分かりづらいです。ひくまの出版はすでに倒産していて、 古本屋を探しまわってようやく手に入れた本です。とても優しく柔らかい絵は何度でも見返したくなります。

 

アイスクリームの国 

アイスクリームの国 (詩人が贈る絵本)

アイスクリームの国 (詩人が贈る絵本)

 

長田弘の選んだ『詩人が贈る絵本』シリーズとして、みすず書房から出された本です。7冊のシリーズが第二弾まであり、全14冊。一冊あたり2,000円というただの贅沢品です。古本屋で500円程度で売られていたら、反射的に買います。

とっくに絶版になっているのですが、大阪のクレヨンハウスに普通に売ってました。平野紗季子さんの『生まれた時からアルデンテ』で触れられていて、読んでみたいなと思った絵本です。 内容はタイトルどおりで、とても素敵です。

生まれた時からアルデンテ

生まれた時からアルデンテ

 

ブルッキーのひつじ 

大人の大好きな絵本作家といえばゴフスタインです。あと、ゴーリーも。

ブルッキーのひつじは、娘が保育園で歌を覚えてきたので、本も買いました。 かわいいこひつじの話です。シンプルな絵で、物語も単調です。

ブルッキーのひつじ

ブルッキーのひつじ

 

ゴフスタイン作品の多くは、末盛千枝子さんが「すえもりブックス」にて多く出版されています。すえもりブックスは倒産してしまいましたが、その後「現代企画室」という会社が、復刊しています。 

絵本ガイド・絵本論

小さな幸せをひとつひとつ数える

小さな幸せをひとつひとつ数える

 

末盛さんの上記のエッセイも、絵本ガイドとして読めるのですが、オススメの絵本ガイド本は、こちらの『絵本をたべる』です。 

絵本をたべる

絵本をたべる

 

紹介されている絵本の数が圧倒的に多いうえに、一つ一つの説明が丁寧で、章立てに使われているテーマ設定も良いです。絵本の世界にどっぷり足を踏み入れるのに、十分に準備が整います。  

ベランダの博物誌

ベランダの博物誌

 

木坂涼さんは、主に翻訳の絵本が多いですが、まずハズレがありません。どんな人なんだろうと、その人となりがわかるエッセイを読んでみたくて、こちらを買いました。とても静謐な言葉を大切にする詩人です。 

本・子ども・大人

本・子ども・大人

 

べつに私は絵本の専門家でもなんでもないのですが、現代的な絵本の理論的支柱を形作った古典的な本の一つが、こちらかなと思います。絵本のもつパターナリズム(お仕着せがましさ)を徹底して否定しています。ちょうど、この本が刊行されて以降、日本の名作絵本の勃興期が始まります。

 

そういえば昔、こんな記事も書いていたようです。

lazyplanet.hateblo.jp