4月になると話題のPTAです。
強制入会だの、ベルマークだの、平日の活動だの、こと話題に欠かないのがPTAですが、ここでは「なぜPTA会長は男性が多いのか?」議論を取り上げます。
9割のPTA会長が男性
(I-7-2図 自治会長及びPTA会長に占める女性の割合の推移 | 内閣府男女共同参画局)
全国のPTA、自治会のそれぞれの会長職における女性の割合の推移を示したのが上のグラフです。ともに、低い割合を示します。
ちょうど女性の議員の割合に似ています。あるいは古い体質の会社の女性管理職の割合も、このあたりに近いのでは。
ちょっと平成20年のものしか見つけられなかったのですが、都道府県別の割合です。まあ、上のグラフでほぼ横ばいなので、あまり経年での変化はないものとします。
都市部と地方との違いが明確になっています。
都内ではほぼ半々です。
当たり前ですが、女性でも男性でもどちらでもできる仕事だというのが分かります。
重要なことは男性が決めるのか
PTA問題に詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「『重要なことは男性に』という日本社会の古い部分がPTAに残っているのでは。」と指摘。
上の東京新聞のコラムには、このような専門家のお言葉があります。「女性活躍」と同じ文脈で語れば、管理職に女性が少ないのと同じ理由で、男女差別がある、ということになります。
他にちゃんとした統計や分析調査があればいいのですが、いま手元にはありません。どこかにはありそうですが。
大塚玲子さんは、PTAに関していろいろ調べて単著も出されています。ここで挙げられている理由は「考えてみた」ものだそうなので、論拠は薄いですが、詳しい専門家の一人ですので、その理由を見てみます。
・会長の集まりは夜が多いから
・女が前に出てはいけない、という意識があるから
・交渉ごとが多いから
・男性文化が強すぎるから
という4つの理由を挙げています。
これは一般にいう男尊女卑の地域文化の影響も大きいと思いますが、女性たちがうまく男性を担ぎ上げて「便利に使う」というように飼い慣らしてきた結果でもあるように思います。会長職に男性を飾っておいて、「本当に重要なこと」は女性たちで決めてきた、という話です。
実際に、田舎の方では、今も名誉職的な位置づけで、商工会や商店街の長などと同様に、地域の力関係が影響しやすい役回りである、という話は聞きます。
そういった地域のつながりの薄い都市部で、女性会長が多いというのもまあ納得できます。
「説得」という会長の選び方
役員の選出方法は、それぞれのPTA規約に沿った形になると思いますが、おおむね
・立候補あるいは協議
・推薦委員(選出委員・指名委員など)による
・くじ・じゃんけん
に大別されます。
下記の表は、参考程度にネットで拾ってきたものです。履歴カードとは過去の役員履歴や3歳以下の子供がいるかなど、選出に当たって配慮されるべき項目を書くことができる魔法のカードですね。
(http://www.sagamihara-hashimoto-e.ed.jp/11_tayori/2PTAsensyutsu.pdf)
これだけ見ると、男性に偏ることはあまりなさそうにみえるのですが、一般に三役(副会長・書記・会計)以上の役員の場合、あらかじめ目星をつけた候補者を口説くことで、次の担当者を決めることが多いです。「推薦」というよりは「説得」というのに近いです。
保育園の保護者会の話ですが、私も飲みに誘われた後に、長々としたLINEをいただき、会長をやっていただきたい旨を伝えられたことがあります。。
そのため、非常に属人的・かつ慣習に倣った選出がされやすいために、男性が慣例で会長となっている学校も多いと思われます。
父親参加の是非
個人的には、会長職に限らず父親がもっとPTAに参加すればいいし、PTAも自治会も可能であれば、夫婦連名でやればいい、と思っています。
時間的に会議に出られなくても、家でやれる仕事も多いですし、外部の会議も含め月に複数回ある場合は、交代で行ったほうがお互いに職場に気を遣う機会も少ないかと思われます。
去年一年間、夫婦連名で保育園の保護者会長をやっていましたが、何の問題もなく、仕事も分担できて非常にやりやすかったです。(ケンカのタネにはなりますが)
実感として会長職をすると、年間100~120時間程度はそれらに無償で費やすことになり、たしかに面倒なのですが、基本的にはボランティアでやってることなので、無理のない範囲で、あとはどれだけ仕事を振る、捨てる、減らすかかと思います。
PTA活動のめんどくさいもののほとんどが、慣例的に行われているものだと思うのですが(偏見)、空気を読みつつもそういった慣例を穏やかな手続きで変えていきたいものだなぁと思うところです。
あ、でも当面は何もやりたくありません。保育園の会長職で疲れたからです。
PTA参考記事
・とてもよくまとめられております。ミクロ編もぜひ。
・なぜか知らないけれど、とても詳しい栃木県のPTA解説サイト。
・他、参考図書