なんとも反吐の出る話なので、精神的に調子のいいときに読んでください。
東京入国管理局さんのツイート: "~落書きは止めましょう~ 11月19日早朝,港南大橋歩道上にて。 表現の自由は重要ですが,公共物です。 少しひどくはないですか。。。… "
落書きはよくない。それは皆分かる。でも、この落書きの意味するところと、入国管理局がこれを固定ツイートにすることの意味が問われている。英語と国語と社会の応用問題として、中学生レベルのいい教材では。
2018/11/21 12:57
こちらの話です。
落書きは悪い
当たり前の話です。小学生でもわかることです。はい、解散。
では、「はい、解散。」で終わらせていいのかどうか、なぜそれで終わらないのか、という意味について考えたいと思います。「落書きは悪い」だけで終わらせるのは、あまりにも思考停止すぎます。
そこで、その先の議論にいくために「落書きは悪い」という考えを一旦頭の中から消してください。
社会科学界隈ではよく「括弧に入れる」と表現します。事象の善悪、事実関係については一旦問わないで(そうしたものは別の専門家に議論を任せて)、それらがどういう文脈で語られているのかを、その意味を見る考え方です。
HUNTER×HUNTERで言えば、ゴンが詐欺師と鑑定士の巧妙な駆け引きを善悪に頓着せずに、面白がるシーンがありますが、そんな感じです(たぶん)。
実際、このツイートだけでは自作自演なのかもしれないし、詳細なことは何もわかりません。そのため、「落書き」の真偽・善悪の判断を保留します。
なぜ、この落書きを書いた人は、”落書きをせざるをえなかった”のでしょうか。
そして、ツイート主である東京入国管理局はどのような意図があり、なぜこれほど批判されたのでしょうか。
落書きは悪いけど
次のような問題を設定します。
いじめっ子といじめられた子がいました。いじめられた子は、「○○にいじめられた」と校舎の壁に落書きして、自殺しました。いじめっ子はその落書きを見つけ、写真に撮りツイートします。「少しひどくないですか・・」と。
さて、この後いじめっ子のツイートは批判されるでしょうか。あるいは、落書きは悪いよね、と同調されるでしょうか。
極端な問題設定ですが、これによく似た事象ではないかと思います。
もう一つ、べつの問題設定をします。
いじめられっ子の机にいじめっ子が落書きをしました。それをいじめられっ子が写真に撮りツイートします。「少しひどくないですか・・」と。
さて、その後拡散されたこのツイートにはどのような反応が集まるでしょうか。
「意味」を考える
行間を読め、とか文脈を考えろ、とかよく言われるように、どのような立場の人が、どのような場所で、どのような時代背景の元で、どのような事柄について、どのような意図で、どのようにそれを表現したか、によって、その行為や言説の意味は変わります。
落書き=悪いこと、という本質は変わりないのに、上の二つの設問の感じ方は全く違ったのではないでしょうか。(もちろん、受け取り方は自由です)
今回、多くの人がそのツイートを批判した、ということの意味を、ぜひこの発言者には考えてもらいたいです。あるいは、発言者がそんなことも考えられないくらい判断能力を失っているのであれば、ぜひともすぐに休養を取ってほしいです。
個人的にはこんな軽率なツイートをする人にはtwitter運用は任せたくないなぁと思うし、組織的に是認された上でこれがツイートされてるなら、それほどまでこの組織は病んでるのか、と思う次第です。
そして、このツイートが批判されなくなった社会を想像すると、本当に怖いなと思います。
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