京大卒の主夫

京大は出たけれど、家庭に入った主夫の話

はじめてのサッカー観戦と子どもの団体スポーツ

女子サッカーを見に行く

 先日、「放課後の時間を考える」という記事を書いたところで、子どもの習い事、あるいは子どものスポーツについて、いろいろと興味が出てきました。

lazyplanet.hateblo.jp

そこで、スポーツ観戦なんて人生で2,3度しかない私ですが、偶然チケットをいただいたので、女子サッカーを見に行くことにしました。

 

見に行ったのは、INAC神戸レオネッサセレッソ大阪堺レディースの試合。

日本代表にも多く選手を輩出している、INAC神戸ですが、そのホーム最終戦ノエビアスタジアムで観戦しました。

inac-kobe.com

 (※とてもきれいなスタジアムでした)

なぜ見に行くのか?

スポーツを「見る」というスポーツ体験を子どもにさせたい、というのが第一の理由です。実際に見に行くことで、子どもにもゆっくりとサッカーのルールを教えることができるし、プロのプレーの巧さや迫力を体感できるのも楽しいし、勉強になります。

そんなに教えるほどサッカーのなにかを知っているわけではないのですが、まあ一応ルールや今のプレイはなんだったのか、という解説くらいはできます。

 

 

スポーツ観戦のハードル

スポーツ観戦って、興味のない人にとっては結構ハードル高いですね。

まずスタジアムまでの移動時間と交通費を払って、最寄り駅からそれなりに歩いてスタジアム内も広い。

そのうえ、試合の内容は予測不可能です。ぐだぐだの試合になるか、ベストマッチになるか、分かりません。会場内は、夏は暑く、冬は寒い。ほぼ選手と同じ環境下で過ごすことになります。もちろん、観戦にはお金もかかります。ビールも飲みたくなります。

 

実際に見に行ったら面白いなぁと思うのですが、それでも「見たい」と思わせるだけの魅力をどのように興味のない人に伝えるか、というのはスポーツマーケティングの初手の課題だと思われます。

スポーツ系情報へのアクセス

スポーツクラブのホームページは総じて見づらいです。

ゴリゴリのイカついデザインで、かつどのサイトも似たようなギラギラ感を出しています。一方、女子クラブのページは、明らかにお金がないことが分かる質素なサイトです。選手の写真も、素人が撮ったような写真です。

スポーツ選手はアイドルではないので、べつにメイクした顔を載せろというわけではないのですが、いまどき企業の社員紹介でもそれなりのクオリティで作られてますよ、というレベルの話です。

そんなレベルの状態のところで、SNSをもっと、とか言ってる関係者のツイートを見て、思わず苦言を呈したくなりました。ご自身たちはnoteで発信されてるのに、そのUIの設計を自分のチームのHPに反映できないのはなんでなんだろう?と思います。

 

「見せたい情報」ばかりがあって、訪問者が「見たい情報」が得られる作りになっていない、ところが問題なのだと思われます。

www.huffingtonpost.jp

とはいうものの、twitterで最近この界隈の人たちをウォッチし始めていて、いろいろ頑張ってるなぁと思うことも多いので、それがより幅広い層に届くことを応援したいと思います。

チームスポーツへの参加

さて、話を自分の子どものことに戻します。

実際に、自分の子どもにスポーツを習わせるとき、水泳や体操など個人で行うものはフィットネスジム市場の伸展もあって、都心であっても近所で運営しているところも多いかと思います。

一方で、チームで行う集団スポーツだと、近くにクラブやあるいはスポーツチームのキッズ向けプログラムがあるかどうか、によって、その参加のハードルが変わります。

スポーツ教育に熱心な親は、わりと遠くまで車で送り迎えしたりしているようですが、自分がスポーツをしない親だとなかなかそこまで意識が向かわない気がします(というか私がそうです)。 

子ども自身にしても、「見る」体験から実際に自分が「する」というところまで、興味が移行するかは分かりません。が、「する」に至った場合も、そのときに地域に参加のしやすいそれなりの「クラブ」がないと成り立ちません。

現状のクラブと親の負担

地域の中でそうした「クラブ」の役割を果たすのがスポーツ少年団だったり、部活であると思うのですが、それらにまつわる話題で賑やかなのは、「親の負担」です。

 

そもそも活動時間が平日の夕方であれば、共働き家庭の親は送り迎えが困難です。

また、多くのスポーツ少年団月謝の費用が比較的安い代わりに、親がコーチへのお茶出し、ビブス(ゼッケン)の洗濯、練習の付き添いなど当番制でそれらの係が回ってくることもあります。土日の試合などがあれば、弁当、送迎、応援、打ち上げなどに忙しくなります。

digital.asahi.com

親の負担感や子どもの地域スポーツの現状については、下記の笹川財団の2017年の調査が比較的母数も大きく、詳細に調べられています。

※小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究

http://www.ssf.or.jp/Portals/0/resources/research/report/pdf/2017_report_37r.pdf

親の負担感データ

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レポートをみると、子どもの所属するクラブの運営団体は、全体の割合としては民間クラブ7割、地域クラブ3割であるものの、団体競技になると、地域クラブの割合が高くなります

また、自分の子ども以外に対する関与としては、下図のようになり、地域クラブのほうが親の仕事が多いことが分かります。

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 また、現状子どもにスポーツをさせている母親のやりがい・負担感が下図です。

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意外と「やりがい度」が高いです。が、個人的にはこの手の「やりがいがある」というのは指標としてはプラスともマイナスとも取れないと思っています。そう思わなきゃやってられない、というのも含まれるからです。いわゆる「やりがい搾取」につながりかねないのも、よろしくないです。

一方、スポーツをしていない子どもの親のさせていない理由が下図の通りです。負担感や本人のやる気・やる環境がないなど、が上位です。

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もちろん、親のスポーツへの興味の有無で、地域でスポーツできる場所を調べたりする意欲なども変わってくると思うので、そのあたりを調べた別の調査があれば、またご紹介します。

 地域とスポーツ

スポーツ少年団の登録人数は減少傾向にあります。

登録状況 - スポーツ少年団 - JSPO

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PDFで見づらくされていたので(たぶんわざと)、 グラフ化しました。理由は、指導者不足や上記に上げた親の負担感、スポーツ以外の習い事との競合など、さまざまに考えられると思います。

実際、ボランティアに近い形で、たまたま地域の中にいたスポーツの上手い人が指導している地域クラブよりは、きちんとした給与体系で組織の中でしっかり訓練されている指導者のもとでスポーツをさせたほうが、親としても安心感あるし、より効果的に上達するように思います。もちろん、民間運営のものであれば、月謝も入会費もそれなりに高く、親の資本力に左右されてしまう、というのが問題ですが。

このあたりの問題意識は、スポーツビジネス関係者も共通に持っているようで、地域スポーツについて様々な仕掛けをしようといま試みているものと思われます。

TURNS(ターンズ) VOL.32 2018年12月号

TURNS(ターンズ) VOL.32 2018年12月号

 

ちなみに、民間の運営する団体競技クラブでは、リーフラスのものが全国的で規模も大きいのかなと思いますが、このあたりは私もまた調べてみたいと思います。

Leifras Challenge リーフラスチャレンジ

 

まとめ

話がだんだんまとまらなくなってきたのですが、最初に戻します。

スポーツ観戦自体はとても楽しいものだったので、また機会があれば行きたいなぁと思うし、行きたいと思う魅力的な施設が増えればいいなぁと思います。それで、必ずしも子どもの体力向上につながる機会にならなくても、「なにかを楽しむ」ということの選択肢が増えれば、それ自体がその子の文化資本になります。そのうえで、地域で実践できる場が増えれば、なおありがたいことです。

スポーツでも音楽でも、何でも気まぐれに楽しんでくれたらいいと思います。

 

sports.yahoo.co.jp

www.nikkei.com

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