おはようございます、物のないオシャレ新婚家庭にあこがれる主夫です。
下の写真はきれいな状態の我が家ですが、普段はこんなではありません。
下の写真がふだんのそれです。
インスタやFacebookにはアップしないやつですね。
まあ、洗濯ものとかお皿とかを放置して、子どものおもちゃも着替えも散らかしっぱなしだと、すぐにこうなります。
「物のないオシャレ新婚家庭」ではこういうことにならないのでしょうか?素朴に疑問ですが、たぶんなってるんじゃないかと思います。
オシャレ新婚家庭とは?
”「物のないオシャレ新婚家庭」は「幼児教育に適した環境」ではない”というのがまとめの趣旨かと思われますが、発言者も「私見」と言っているので、その主張は根拠に乏しいのでしょう。しかし、ひとつひとつの発言は、子育て家庭としては気になる部分なので、よくよく検証してみたいと思います。
類人猿は皆、もっとも身近にいる人(主として親)が何に興味を持つかで、それを見ながら育ちます。知育玩具に親は真剣な興味はありません。ので知育玩具では不十分で、生活の中に、文字と数字があり、それを通じて大人同士がコミュニケーションする必要があると思います。
— norico arai (@noricoco) 2017年12月1日
いきなり主語でけーな!です。
この発言の趣旨としては、知育玩具といった「人為的に作られたモノ」ではなく、生活の中に「自然と溶け込んでいるモノ」で子どもは学ぶ、そして、「親の興味のあるものに子どもは興味を持って育つので、生活のなかの文字や数字にもっと関心を持ってほしい」というところだと思います。
その後、その例のツイートが続きます。
まず、「月日、曜日」が漢字で入っているカレンダーを壁にかけて、それでイベントの共有をしてほしいです。たとえば「12月10日日曜日、ディズニーランド」のようにです。カレンダーは数の並びを自然に理解するのに非常に有効な手段です。
小1で「じゅういち」を「101」と書く子、相当います。赤ちゃんが生まれる前に、必ず、数字がきちんと入っている、文字盤の時計を壁にかけてほしいです。デジタル時計もあるのはかまいませんが、それでは、3ケタのひき算ができるまで、「6時まであと何分」を把握できません。
@noricocoできれば、紙の新聞を購読してください。それが嫌なら、せめて本を買ってください。それを読む姿を子どもに見せてください。
自分が本を読まないのに、本を読む子に育てるのは難しいです。というわけで、おしゃれな家は、読解力の敵、と私は思っています。
順番に科学的に示していくつもりですが、どういう仮説があるかは、予めお伝えしました。小学校の教科書で必要な語彙を身に着けるのは不可能です。語彙検定しても難しいです。それでは語にリアリティがないので。
時代劇お勧めです!
(引用ここまで)
すみません、すごく長く引用しましたが、「私見」とあるとおり私的なイメージが散見されます。
まず、発言主の思うオシャレ新婚家庭とは“月日、曜日等が漢字で書かれていないカレンダーをかけ、壁掛けカレンダーに予定を共有せず、時計はデジタル時計を使用し、紙の新聞や紙の書籍がない”という家庭のようです。(※時代劇は完全に発言主の趣味かと思われるのでカット)
文字だけでは、少しイメージがわかないかもしれません。
なので、意識高い系オシャレ女子のまとめサイト「キナリノ」さんをご紹介。
別タブで開いてください。
さて、イメージできましたでしょうか。
モノや本など、散らかりやすいきれいな家、収納しやすい家、はたしかに比較的新しい家においては、トレンドのようです。
(出典)https://plaza.rakuten.co.jp/mikipan/diary/201412230000/
また、カレンダーですが、こんなかんじでしょうか?
ナチュラル系雑貨の代表格、"fog linen work"のカレンダー、アラビア数字とモノトーンの絵だけで構成されたシンプルなオシャレカレンダーです。私も欲しい。
オシャレなデジタル時計のイメージが全くわかないのですが、数字の書かれていない時計は子どもにとって少しわかりづらいかな、と思ってこちらを挙げておきます。
さて、次に実際に、統計調査に当たってみたいと思います。
ベネッセ研究所統計データから
幼児教育にかんするデータ、ここではベネッセ教育研究所のものを借ります。
幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査
こちらの調査、2012年に大規模な幼児~小学校までの親を対象としたアンケートをとり、なおかつ数百の家庭に対し2012年から5年間継続してデータを取り続けているタテヨコ調査です。
まず、2012年のデータから。
結果の要旨では、
・小学校入学までに、「文字・数・思考」の力は伸びていくが、「学びに向かう力」は必ずしも伸びない。
・ 「生活習慣」が定着している子どもは、「文字・数・思考」「学びに向かう力」がより高い。
・小1時の振り返りで幼児期に文字・数に親しむ習慣が高かった場合、小1時に「勉強が終わるまで集中」は 72.0%、低かった場合は 48.7%と差が出る
幼児期から小学1年生の家庭教育調査 報告書 [2012年]│ベネッセ教育総合研究所
とあります。確かに、文字・数に親しむ習慣が少ないと、その後の学習意欲に影響があるとあります。もちろん、これには違う相関関係が含まれる場合もあります。そのためにこの調査では、タテの経過観察を継続しています。
そこで、タテの2016年の報告を見てみます。
以下、引用です。
小学校以降の学習や生活に大切な「学習態度(自分から進んで勉強する態度)」は、幼児期の育ちが土台となっている。
幼児期に、「生活習慣」「学びに向かう力(=非認知的的スキル)」「文字・数・思考」の順序で育ち、それが小1、2での「学習態度」につながった。
また、この3つの力を幼児期に身に付けることで、小学校以降も伸びることが確認できた。
(出典)http://berd.benesse.jp/up_images/publicity/pressrelease_20170515.pdf
ここで「学びに向かう力」というあいまいな言葉は、次のように定義されています。
「自分の気持ちを言う、相手の意見を聞く、物事に挑戦するなど、自己主張・自己統制・協調性・好奇心に関係する力」(非認知能力)
また、「生活習慣」は「トイレ、食事、あいさつ、片付けなど、生活していくために必要な習慣 」としています。
少し、わかりづらいのですが、下の表を見るとわかりやすいです。
小学校以降の「学習態度」には、文字・数字・思考といった要因も影響を与えますが、それだけでは「学習態度」の向上にはつながらず、「学びに向かう力」「生活習慣」の要因も大きい、というのがこの表から分かります。
それゆえに、「学びに向かう力」や「生活習慣」を幼児期に基礎づけることをこの調査では重要視しています。
というのも、文字や数字は、かなり多くの子どもが実際に就学前から「できる」のです。
この表は、2012年の大規模調査のものですが、多くの項目で9割以上の年長or小1生ができるようになっています。
とすれば、文字や数字の習得には、環境要因はほぼ影響しないことになります。また、「文字や数字に親しむ」というのは、現状ほぼ全ての子どもができている分野であり、そのほかに親が意識しなければならない大切なことがある、ということが言えます。
それが、「学びに向かう力」であり、「生活習慣」である。そして、それらが、「学習態度」つまり向学心・学習意欲など「もっと知りたい」という知的欲求をもって自主的に取り組めるか、というところをにつながるとしています。この調査ではそうしたものを「教育」として重視しています。
まとめ
オシャレな新婚家庭がそもそも、「文字環境の砂漠」かどうかは分かりませんし、知りません。もともとの発言主も身近な「生活」のなかからの学びを訴えていると思うので、それ自体が間違いというわけではないと思います。
要は、日々のかかわりの中で「頭を使ったやりとりをしているかどうか」ということだと思いますが、そのやりかたは、時代劇でも、知育玩具でも、ベネッセのワークでも、絵本の読み聞かせでも、なんでもいいのだと思います。
重要なのは関わり方で、それは、やらせっぱなしではない、一緒にやる、考えさせる、自分の意思を尊重させる、といったことです。
それが全く無い環境であるとすれば、それは教育環境の砂漠といえるのかもしれませんが、オシャレ新婚家庭は勝手なイメージですが意識高そうなので、上記のような関わりはしているのではないでしょうか。
そういうのが大切だという話が、なぜか文字のない家は悪い、というナゾのまとめになってる、ように感じました。
以上です。