京大卒の主夫

京大は出たけれど、家庭に入った主夫の話

主夫の評価と目標管理

記事数も少なく、大した書いてないのに、意外とアクセスある(はてなアクセス解析しか見てないけど)はてなブログが不思議です。

 

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(※海と娘です)

 

主夫の評価 

タイトルの話題ですが、まず主夫って評価されにくいんです、という愚痴から始めます。

 

周りから「働いてないの?もったいない」って言われるし、ヒマでしょ?って言われるし、大したことしてないでしょって思っている男とこんなに頑張っている私って訴える女との言い合いなんてそこらじゅうで起きているし。

 

じゃあ、何かしらの評価基準ってないだろうか?というのがこのエントリの趣旨です。

 

主婦・主夫の年収議論

よくある「主婦の年収」議論を先にします。

何度も繰り返されている今さらな話題ですが、先日のマイナビの意識調査では次のような結果だったようです。

 

0円ってひどくない!? 専業主婦の妥当な年収っていくら?|「マイナビウーマン」

男性の回答で0円が一番多いという話でした。

 

赤木智弘という人はこんなことを言っています。

blogos.com

一見すると主婦をdisっているようですが、落ち着いてください。いいことも言っています。

「主婦の労働に金銭的価値を付ける」という行為そのものが、実は「給料が高いほど重要な人間である」という前提を包有した「罠」であることに気づくことができるはずだ。この罠に引っかかる限り、男は主婦を見下すし、主婦自身の自虐も無くなることはない。

「家事労働に賃金を」というフェミニズムの本がありますが、その主張はまさに上記の通りかと思います(この本はタイトルで誤解されがちですが)。

赤木さんは反フェミな人だと思いますが、金銭的価値(市場)によって囚われる思想から脱せよ、というメッセージはフェミニスト自身からも発信されているものです。

 

ともかく、きれいごとを承知の上でいえば、年収って客観的に分かりやすいことからよく指標にされますが、その人の人間的価値が年収によって決まるわけでもありません。

 

ということで「主婦の年収」議論は主婦・主夫の価値を考えるうえで実際には何の役にも立たない、ということをまずここで前提としておきたいと思います。

そのうえで、それでは「どうしたら主婦・主夫の価値は図れるのか」というところを考えてみたいと思います。

 

主夫の仕事とは 

主婦・主夫の仕事は家事です。ここでは家事を、「稼ぐ」以外の家庭内のアンペイドワーク無償労働)全てと定義します。

個人的に私は、家事を会社でいうところの間接部門の仕事だととらえています。

生産や売上(稼ぎ)に直接寄与することはありませんが、社内環境の充実(旨い飯ときれいな室内)と適切な備品管理(買い物・整理整頓)を行い、稼ぎ手にはメインの業務に集中してもらう環境を作る。

財務状況を把握し(金銭管理)、適切な投資判断(旅行や趣味・家電の購入等)ができるようにし、その効果(満足度・幸福度)を最大化する。

こうした間接部門(主夫の働き)があって、初めて営業職や技術職(稼ぐ人)が、メイン以外の書類作成等に追われることなく、専門業務に集中できるのだと思っています。

 

それでは、こうした間接部門の人たちはどのようにその評価を決められているのでしょうか。

 

評価基準と目標管理制度

年功によって上がっていく面もありますが、基本的には会社組織における評価によって、その人の収入は決まります。

成果主義の人事評価が一般的になって以降、多くの会社では目標管理制度(Management by Objectives)あるいはそれに類似する評価制度が作られていると思います。

 

会社組織にはその会社の目指すビジョン、企業目標が掲げられています。

そのビジョンを実現するために、各部門がそれぞれ目標を設定し組織として動いています。

一人ひとりの個人はどのように目標を定め達成すれば、組織の目標の実現ができるかを業務レベルで具体的に考えます。

 

そして、その部門の責任者はそれぞれの能力、やる気などを踏まえ各個人の定めた目標設定で自部門の目標が達成できるかどうか、等を判断し各自とコミュニケーションを取りながら、マネジメントします。

自分の立てた目標は会社の目標につながっていて、自分の成果が会社の業績とつながっているのだ、と気づかせることが、目標管理制度の一つのポイントになります。

 

導入したものの趣旨が十分伝わらず効果的に運用できていない企業も多く、問題点も多々指摘されてはいるものの、自主性を育み教育効果が高いことや、業績との連動評価がしやすいことなどで、各企業にあった様々な形で取り入れています。

 

バックオフィス部門での目標管理においては、「定量的な目標が設定しづらく、成果が見えにくい」という問題が一つあります。

 

目標設定においては通常具体的な数字を示すため、営業等であれば契約件数○件/月などといった目標を立てやすいのですが、間接部門の場合、クレーム件数を○件に抑える、経費を○%削減、処理時間の短縮、などといった数値目標になります。

そのほか、新制度の導入・システムの変更などといった定性的な評価基準もありますが、それも導入後の効果を測ることが前提となります。

 

これを「家事」に当てはめてみたいと思います。

 

 主夫の目標管理

家庭内の年度目標は、「貯金○○円!」「海外旅行に行く!」「子どもの受験に注力」など様々だと思いますが、下記は具体的な主夫個人の行動目標をいくつか、思いつくままに書いてみます。

 

・各種支出の削減

目標:食費を月3万円以内に抑える

具体策:週の初めにメニュー表を作成し必要な食材のみ効率的に消費

効果:無駄な支出の削減・献立の可視化

難易度:普通

 

・家計簿の記入時間短縮

目標:1日10分以内

具体策:マネーフォワード導入・少額決済はEdy・その他はクレカ

効果:家計簿の自動化により記入時間短縮、その時間を家計分析に

難易度:易しい

 

・PTA活動の縮減・効率化

目標:PTAの会議回数を削減・連絡手段の電子化

具体策:役員会で提案、配信メールサービスorグループウェアの導入

効果:コミュニケーションを維持したまま不必要な会議を無くし意味ある活動の時間や家庭内の時間に活用

難易度:難しい

(※自部署内で完結しない業務は難易度高めです・・・) 

 

・押入れの収納の改造・スペース活用

目標:タンスを一つ減らす

具体策:押入れ内に棚取付・襖→カーテンに変更し空間を有効利用

効果:押入れ内の収納力アップ、タンスを処分し広い空間を確保、日々の出し入れの効率化も

難易度:易しい

 

等、でしょうか。

こうした目標を設定し、それぞれ達成したかどうか等によって評価を決めれば、主夫としての価値は可視化されるのではと思います。

 

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(※いつか焼いたクッキーです)

 

評価基準を可視化すること

一般に年収の議論はよくされるものの、働く人がどのように評価されていて、その評価を主夫に照らしてみるとどうなるの?という議論があまりなされていないように感じられたので、思考実験として記事にしてみました。

 

ぶっちゃけた話、そんな面倒なことやってられっか!というお叱りの声が届きそうですが、その通りです。べつにやらなくていいと思います。

 

ここに挙げた事例はあくまで妄想の世界の参考であって、普段見えづらく分かりにくい主夫の仕事(とその価値)を見える化しただけです。

こうして評価基準を可視化すると、主夫の仕事の価値も見えてくるのではないでしょうか。

 

 

人事面談がめんどくさい、目標設定やりたくない。働いている人からはそんな声がよく聞こえてきます。

主夫は個人事業主みたいなものなので、そんなものはありませんが、働く人にとっては、厳しい目にさらされながら評価されることもまたストレスなわけです。

 

なんで評価されないの?という主婦たちの声はもっともですが、「評価されること」っていうのは、なかなかしんどいことでもあります。

 

 

「主婦」対「サラリーマン」のこうした議論は、結局のところ不毛なものが多いのが残念で、金銭的な価値の議論に回収されがちなのもまた残念です。

 

主婦・主夫の仕事は、それぞれの家庭で最適な生活環境を整えつつ、家族の幸福を最大化するとても貴い仕事だと思います。

兼業であれ、専業であれ、そうした仕事に対しては敬意を払いたいし、本来であれば労働の下位に置かれるべきではなく、それに見合うべき対価(社会的評価も含め)があればなぁと思います。

 

少し長くなりましたが、以上です。